必ず暴落は来る──それでも投資を続けるには

投資

投資をしていると、誰もが一度は耳にする言葉がある。
それが「いつか暴落は必ず来る」という言葉である。

株式市場は右肩上がりに見えるが、決して一直線ではない。必ず波がある。上がるときもあれば、下がるときもある。そして、時にその下落は「暴落」と呼ばれるほど急激に訪れる。

では、どれくらいの頻度で暴落は起こるのだろうか?どの程度の下落率を「暴落」と呼ぶのか?そして、投資家としてどう備えるべきなのか?
今回は、その現実と向き合い、心構えを整えるための話をしていこう。


■ 暴落はどのくらいの頻度で起こるのか

まず、「暴落」という言葉の定義から整理しておこう。
一般的に、株価が20%以上下落した状態を「ベアマーケット(弱気相場)」と呼び、これがいわゆる「暴落」にあたる。

米国株の代表的な指数である S&P500 の歴史を振り返ると、
第二次世界大戦後から現在までの約80年間で、20%以上の下落は14回ほど発生している。
つまり、およそ5〜6年に1度のペースで暴落は起きている計算になる。

また、10%前後の「調整局面」であれば、平均して1〜2年に1回の頻度で発生している。
これはつまり、長期的な投資を続ける限り、「暴落を経験しない」ということはほぼあり得ない、ということだ。


■ 過去の暴落の例を見ると

投資をするうえで、過去の暴落を知ることは非常に有用だ。
たとえば:

  • 2000年:ITバブル崩壊(NASDAQは約80%下落)
  • 2008年:リーマンショック(S&P500は約50%下落)
  • 2020年:コロナショック(S&P500は1ヶ月で約34%下落)

どの暴落も当時は「市場が終わった」と言われたが、数年後には株価はすべて回復している
そして、過去最高値を更新し続けてきたのが、株式市場の歴史である。


■ 暴落に対抗する手段

暴落を「避ける」ことは不可能だ。
しかし、「暴落に耐える」ことはできる。

そのための手段はいくつかある。

1. 現金(キャッシュ)を一定割合で持つ

投資資産をすべて株式に突っ込んでいると、暴落時の心理的ダメージは非常に大きい。
生活防衛資金や、緊急時に使える現金を持っておくことで、「売らされるリスク」を減らすことができる。
これは非常に、本当に重要なことである。「リスクをとれる範囲で投資せよ」とよく言われるが、あなたは本当にそれを守っているだろうか? 資産の殆どを投資に回していたりしないか? 暴落がくれば半分になるぞ?

2. 積立投資を続ける

暴落時こそ、安く買えるチャンスでもある。
定期的に一定額を投資する「ドルコスト平均法」により、価格が下がったときに多くの口数を購入でき、長期的にリターンを平準化できる。
これを実行するためにも、一定額は現金を残しておいたほうが良い。いや、そうすべきである。

3. インデックス投資を中心にする

個別株は企業ごとの事情で暴落後に回復しないこともある。
しかし、インデックス(指数)投資は市場全体に分散されているため、回復力が高い。
長期的には経済成長とともに上昇していく可能性が高い。

4. 債券やリートで分散する

株式だけでなく、債券・不動産などの資産を組み合わせることで、全体のリスクを下げることができる。
「株が下がるときに債券が上がる」ことも多く、リスクヘッジとして有効だ。


■ 暴落に対する心構え

暴落が来たとき、最も重要なのは「感情に負けないこと」である。
多くの投資家は、「資産が減っていく!どうしよう!」「これ以上損したくない」「もっと下がるかもしれない」と恐怖心から行動を誤る。

過去の統計では、暴落中に売ってしまった人は、回復局面に乗れずに損を確定してしまう傾向がある。
逆に、「何もしなかった人」が最終的にもっとも高いリターンを得ている。
暴落時には売ってはいけないのだ。

投資家の名言である「市場をタイミングしようとするな。市場に留まり続けろ(Time in the market beats timing the market)」は、このことを的確に表している。


■ 暴落はチャンスでもある

暴落時は、世の中のニュースが悲観的なものばかりになる。
「株は終わった」「もう戻らない」などといった声があふれ、SNSも悲壮感で満ちる。
しかし、そのような時期こそ、本当のチャンスである。

世界の経済は、戦争や感染症、金融危機を乗り越えて成長してきた。
人々は常にイノベーションを生み出し、企業は利益を追求し、経済は拡大し続けてきた。
つまり、暴落のたびに安く買えた人が、次の上昇局面で大きな果実を得るというのが、資本主義の仕組みである。


■ まとめ:暴落を恐れず、準備せよ

暴落は、いつか必ず来る。
これは「もし」ではなく「いつか」の問題だ。

しかし、それを恐れる必要はない。
むしろ、「来ることを前提に準備する」ことこそが、真の投資家の姿勢である。

  • 現金を持ち、焦らず構える
  • 積立を続け、機械的に買い続ける
  • 感情に流されず、長期的な視点を保つ

この3つを守るだけで、暴落はあなたを脅かす敵ではなく、「味方」になりうる。

投資とは、相場を当てるゲームではない。
いかに市場に居続けるかのゲームである。

だからこそ、暴落を恐れるのではなく、「暴落と共に生きる」覚悟を持とう。
そうすれば、あなたの資産は確実に成長していくはずだ。

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