投資をしていると、年末が近づくにつれて「今年はどれくらい税金を払うことになるのだろうか」と気になってくる人も多いだろう。実は、年末だからこそできる重要な節税手法がある。それが「利益の損だし」である。
損だしとは、含み損を抱えている金融商品を年内に一度売却し、意図的に損失を確定させることを指す。この損失を、すでに確定している利益と相殺することで、支払う税金を減らすことができる。
投資で利益を出すことだけに目が向きがちだが、税金まで含めて考えることが、資産形成を成功させるうえで非常に重要である。
損と利益は通算できる
日本の税制では、株式や投資信託などの譲渡益は原則として約20%(所得税・住民税・復興特別所得税)の税金がかかる。しかし、この税金は「年間の利益」に対して課税される。
たとえば、以下のようなケースを考えてみよう。
・A株で50万円の利益
・B株で30万円の損失
この場合、課税対象となる利益は
50万円 − 30万円 = 20万円
となる。
もし損だしをせず、B株を保有したままだった場合、50万円全額に対して税金がかかってしまう。しかし、年内にB株を売却して損失を確定させれば、課税額を大きく抑えることができる。
このように、損と利益を通算することで税金を安くできる点が、損だしの最大のメリットである。
損失は3年間まで繰り越せる
損だしの魅力は、それだけではない。仮にその年の利益をすべて相殺しても、損失が余った場合、その損失は「繰越控除」として翌年以降に持ち越すことができる。
株式や投資信託の損失は、最長で3年間まで繰り越しが可能である。
たとえば、今年100万円の損失が出た場合、
・翌年に50万円の利益
・翌々年に30万円の利益
が出ても、それらを相殺し、残りの20万円をさらに翌年へ繰り越すことができる。
この制度を正しく使えば、数年にわたって税金を抑え続けることが可能となる。ただし、繰越控除を利用するためには、最初の年に確定申告を行う必要がある点には注意が必要だ。
一度売って、買い直すという選択肢
「損だしをすると、将来の値上がり機会を逃してしまうのではないか」と不安に思う人もいるだろう。しかし、損だしはあくまで税務上の処理であり、投資方針を変える必要はない。
一度売却して損失を確定させた後、改めて同じ銘柄を買い直すという方法もある。価格が大きく変わらなければ、実質的な投資ポジションを維持したまま、税金だけを最適化できる。
もちろん、売却から買い直しまでの間に価格が動くリスクはあるが、それを理解したうえで行えば、非常に合理的な戦略となる。
税金を勉強すれば資産は増える
投資の世界では、「運用利回り」ばかりが注目されがちである。しかし、税金は確実に手元資金を減らす要因であり、無視することはできない。
同じ運用成績でも、
・税金を意識しない人
・税制を理解して活用する人
では、長期的な資産額に大きな差が生まれる。
損だしや損失繰越といった制度は、特別な知識や才能がなくても誰でも使える仕組みである。だからこそ、税金を学ぶことは、投資リターンを高める「もう一つの利回り」と言える。
まとめ
年末に行うべき「利益の損だし」は、
・損と利益を通算して税金を安くできる
・損失を3年間繰り越せる
・投資効率を高める重要な戦略
である。
投資は単に値上がりを待つだけではない。税金まで含めて考えることで、資産形成はより堅実で再現性の高いものになる。
年末という節目を、単なるカレンダー上の区切りで終わらせず、賢く資産を守り増やすタイミングとして活用していきたい。
あとがき
え? 年の明ける2時間前にこんな記事上げるなって??
はは、まあそういうなよ、来年に活かせばいいじゃないか。
投資は長期で行うものさ。

